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人気ランキング : 69170位
定価 : ¥ 1,260
販売元 : 新潮社
発売日 : 2006-03-16 |
価格:¥ 1,260
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この本のとりえは、テクスト論とか『三四郎』云々とかよりも、むしろ大学生や教官たちの生々しい描写にあろう。自意識過剰なあまりレポートを書かない男子学生や、業績がないのに自己主張だけはつよい教師など、きわめて卑近なところから成城大学という空間が記述されていく。その慎みを欠いた観察のおもしろさは小谷野敦の本を思わせる。ただ気になるのは、これほど成城のことを生々しく描いているにもかかわらず、著者自身のことについてはある抑制が働いているのではないかということだ。たとえば、著者は成城に対してくりかえし自身の愛着の深さを語っているが、ではなぜその成城から早稲田に移ったのか。そこは全く触れられていない。やはり著者自身の卑近な欲望とかも描いてほしかった。つまり著者がすこしカッコよくすぎるのではないかと思う。そこが小谷野敦との違いだ。
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日経の書評欄でとり上げられてて、読んだらすごくおもしろかった。
すごいよ石原千秋。
大概の大学教員なら、この大学大衆化の時代、「ふつうの大学生」に対して、『貴様らこのサルが、こんなことも知らんで大学に来るな』と、はなっから見放したりするところを、ちゃんと正面から向き合って「大学生のレベル」へと引き上げようとする。年4回もレポートを課し、そのうえそれ全部添削して返すなんて、信じ難いほどの労力ですよ。
少なくともこの人は、研究者である自分と等しく、教育者であり続けようと自らをきびしく律している。そこにうそ偽りなく感動しました。
ただね、この本に登場する「ちゃんとした文章が書けない男子学生」に、「自分の気に入った研究者の真似をしなさい」とアドバイスしたら見違えるように進歩した、というくだりはどうかと思う。だって、学生がコピーした対象が自分(石原千秋)なんだもん。そりゃ事実なんだろうけど、さすがにそれを臆面もなく書くのは恥ずかしいぞ、石原。
それからもうひとつ。ふつうの人である私から見ると、やっぱり文学って、なんか胡散臭い。この本に登場する学生たちの「成長の軌跡」は、申し訳ないが「素直なフツーの子たちが、なんだかヘンな方向に行っちゃった」風にしか見えない。
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大学論としても、大学生論としても、出版業界論としても、テクスト論としても、中途半端だと思う。
しかしこれは、著者の意図するところで、論文が生成される現場を、まさにカルチュラル・スタディーズ(時代状況の中で論じる方法)的に浮かび上がらせている。逆に、このような視点がないと、「中途半端」という評価で終わってしまいかねない。学生達が生き生きと活写されているのが、良かった。
テクスト論的分析とは、不思議なものだ。テクストそのものにこだわって作っているのに、逆に、もともとのテクストを知らなくても、理解できてしまう。それだけ方法論として洗練され、普遍性へ向け開放されているということだろうか。一方で、他書だが、原テクストがなくても、この論文は成立してしまうんじゃないかというものもあった。また、学生達の論文は、刺激的であった。
読了して思ったのは、「学生の成長」というより、「才能や学問の残酷さ」である。社会人になっていく学生達が、「自身の才能」や「学問的知見を身につけた自分」と、どう折り合いをつけていくのか、描かれていない部分が興味深い。
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最近すっかり受験国語の専門家となっている石原氏が、成城大学での講義を題材に、学生が『三四郎』を読み解いていく過程をつづったものです。読売?の書評でこの本の存在を知りました。石原氏は専門書のみならず、一般向けの本(理論社のよりみちパンセのシリーズ等)を書いても大変面白く書く才能があります。この本も、時折息抜きになる話を取り混ぜ、読者を飽きさせない工夫が随所に見られます。新刊書店の評価についての記述を含め、実名がたくさん出てきて、大学からの帰り道は気をつけないといけないのでは?と思わせる表現もあります(特に172頁!)。国文学は現在存亡の危機にさらされており、一般の人からすれば役に立たない学問と考えられていますが、この本を読むと、文学を学ぶとはどういうことかが分かる気がします。