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定価 : ¥ 777
販売元 : 筑摩書房
発売日 : 2006-04 |
価格:¥ 777
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長谷部恭男『憲法と平和を問いなおす』ほど難解ではないけれど、逆に、「戦争は悪」「アメリカの世界支配に反対するのが正義」という怪しい根拠からの護憲論。つまり、憲法学から護憲を擁護することは最初から断念して、絶対平和主義という価値観からの政治的な護憲論にすぎない。
実際、途中で著者が「改憲論の論拠」からはずす、「憲法論争をタブーにしてはいけない」を含めて7個の改憲論への反駁(押し付け憲法論・解釈改憲最悪論・戸締まり論・自衛隊廃止非現実論、等々)は、護憲派や護憲的改憲論の立場には一定程度の説得力はあっても、0)自衛隊の運用を透明化するためにも、1)中国・韓国・北朝鮮の反日動向や国際的なテロ勢力に対する備えを考えれば、双務的な集団的自衛権の公使が日本にも必要、2)恒久的な自衛隊の海外派遣法の制定が必要と考える、改憲派には何の説得力もない、護憲的な信仰告白にすぎないと思えた。
尚、「軍備を持ってはいけない」とか「海外で武力行使をしてはいけない」とかの具体的な内容を持つ規範として、憲法的なプリコミットメントを理解する第4章は、本来、「制度の説明枠組み」にすぎないプリコミットメント論の濫用だと思われる。
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本書でとりわけ興味深いのは現在「護憲」「改憲」それぞれから出されているさまざまな議論を批判的に検討し、それを系統づけていることだ。それらの議論を検討していくなかで明らかになるのは、実は「明文」改憲反対を唱える「護憲」の側も含めて、「憲法九条は非現実的だ」という言説がまかりとおっていること。著者はそれを@「軍隊を持たずに国民の安全を守ると考えるのは非現実的」A「憲法九条の形骸化がここまで進んだ以上、その現実を認めない議論は非現実的」B「九条改定を容認する自民・民主の保守二大政党制が現実化しつつある現在、護憲の立場は非現実的」という立場に大別する。これに対して著者は「絶対平和主義」の立場をとる著者はこう言う。著者の立場はただ九条の文言をまもりさえすればいいというものではない。「護憲」とは、現実の政治状況の中で可能な限り「武力によらない平和」を模索しつつ、それを現実化するうえで九条がもつ「効用」を積極的に評価し擁護する目的意識的でプラグマティックな「擁護論」である。先の@ABの立場が、こうした批判的可能性としての憲法九条というのをあっさり捨て去る体勢順応型「無思想」であることを著者は喝破していく。
地道な活動・批判的営為を、「無力なもの」「非現実的」なものと描き出す言説が憲法問題に限らず様々な分野で満ちている。こうした状況下で「思想」をとり戻しそれを力にしていくうえでの自信と可能性を、本書は与えてくれるだろう。
だが疑問点もある。本書は結論としてハーバマスにならう「憲法愛国主義」を提示するのだが、ハーバマス自身は「軍事による平和」そして「文明/野蛮」という帝国主義的な区分法をとる。あえて「愛国主義」という統合原理を掲げのは、われわれがいぜんとして共和主義と帝国主義の共犯関係を乗り越える統合原理を獲得していない以上、慎重にすべきだろう。
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著者は樋口陽一氏の次の提言を本書によって実現した。
「サロン談義のなかでそれぞれが理想の憲法像を出し合うのが、いまの問題ではないはずです。改憲論をめぐる争いは、その社会のいまの時点の、最高度の政治的選択なのです。どんな人たちが何をしたくてそれぞれの主張をしているのかを見きわめたうえで、賛否を決めるべき政治課題なのです」。
平易で冷静な叙述によって、日本の現時点での選択肢として9条を擁護することの平和へのリアリズム、改憲論の現実主義・国際協調主義に潜む素朴とイデオロギーを撃つ。現在進行中の改憲動向に切実な不安をもつ者にとって、もっとも望まれていた良書である。
また、改憲動向が現時点に至っても沈黙する多くの憲法研究者は本書によって憲法研究者の役割と志とは何かを再考させられるだろう。
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本書は、冒頭で架空の大学生たちの口を借りて、
近年巷で流布する改憲論を類型化し、
架空の大学教授が9回の講義を通して徹底的に論破するというものです。
ちなみに著者≒カリタ教授の拠って立つ立場は、
近年絶滅の危機に瀕している感のあるものの、
もっとも憲法の条文に忠実な「絶対平和主義」です。
俎上に上げられるのは改憲論の歴史、9条論、プリコミットメント論などなどです。
個人的に注目した点は、
実際には無邪気な改憲派を利しているに過ぎない護憲的改憲論者に対する根本的な疑問の提示や、
改憲論者の建前と本音を見事に抉り出しているところです。
もっとも本書にも限界はあります。
例えば上記のプリコミットメント論などはまだ発展途上の感があります。
とはいえ、代表的な改憲論に比べると、
間違いなく著者の議論が論理的にも実質的にも上をいっている感があり、
新書としては十二分の出来だと思います。
あとはどれだけの方が本書を手に取り、
必ずしも容易でない議論に付き合うかだと思います。
類書として著者もリスペクトしていると思われる、
長谷部恭男「憲法と平和を問い直す」、樋口陽一「個人と国家」の一読もお薦めします。
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よかったです。
一番よかったのは、改憲派の護憲派に対する
攻撃(口撃?)への解答が簡潔に述べられている点。
私自身、「もし外国が攻めてきたら・・・」と
質問されたらきっと言葉に詰まってしまいます。本書を読めば
それらに対する答えの糸口がみつかると思います!
護憲派・改憲派・解釈改憲最悪論派など、多くの方に読んで
もらいたいです。