さて、当法人では、会社設立・融資・離婚・助成金・セクシャリティ・ペット法務・建設業・自動車手続など多岐に渡る業務を取り扱っておりますが、僕がメインで動いているのは会社設立手続です。
今回はこの手続実務について、簡単にですが解説したいと思います。
お客様とは既に成約しているとして、まずは
「会社の基本事項」
を決めて頂きます。
例えば、会社名、事業目的、発起人(出資者)を誰にするかとか、役員を誰にするのか、任期は何年にするのか、会計年度は?資本金は?許認可は?取締役会は?監査役は?取締役は各自代表にするのか?現物出資はあるのか?会計参与は?・・・・・などなど
特に新会社法の施行により会社の内部機関は柔軟に決められるようになったので、役員や設置機関に関しては密なヒアリングが必要です。
他にも、決算期を1年後にすることで決算事務を先送りにできたり、逆に早める事で過大な課税を避けたり。
或いは許認可の要件や、開業後の融資が必要であれば、資本金の設定にも注意が必要です。
単に高く設定すれば良いというものでもなく、消費税の免税を望む方も圧倒的に多いので、敢えて資本金1000万円は避ける必要もあります。
とにかく、会社の設立手続で最も面倒な作業はこの最初の部分です。
これさえ終われば、会社設立手続は半分終わったも同然です。
基本事項フォームや簡単な解説マニュアルなどを作っておくと、お客様とのやり取りもスムースですし、親切です。会社の基本事項が決まれば、実際の手続に移ります。
新会社法施行後は「類似商号・事業目的」に関しての規制はかなり緩和されましたが、当事務所をはじめ、他の先生方でも従来どおりの調査をしている事務所が多いようです。
類似商号の調査は実際に法務局に出向いてファイルを調べてみても良いのですが、
オンラインでチェックする事も可能です。(僕はオンラインでチェックします。)
次に事業目的の確認ですが、直接法務局へ出向いて登記官に確認しても良いですし、こちらの書籍を活用しても良いでしょう。
会社「目的」の適否判定事例集
上記事例集に載っている事業目的であれば、間違いなく通るでしょう。
事業目的は各登記官の裁量・判断に委ねられておりますが、この事例集の通り目的を決めていればまず通ります。
以前、登記官に目的確認をした際、「NO」をもらった場合がありましたが、この判定事例集を見せたら「YES」に変わりました(笑)
新会社法の下では規制も緩和されましたので、上記事例集を使っていればまず問題はないでしょう。
ここまでの調査が終われば、会社の定款を作成します。
お客様に決めてもらった会社の基本事項を定款にインポートしていきます。
この段階で発起人決定書(発起人複数の場合は発起人会議事録)も同時に作っておくと良いでしょう。
基本的には、発起人決定書(発起人会議事録) → 定款 の順序です。
この発起人決定書(発起人会議事録)の作成は一般書籍などにはあまり載っていないのですが、作っておいた方がその後の書類作成が簡単になりますし、設立時代表取締役選定決議書が不要になります。
また、定款を作成したら、必ず事前に公証人の確認を受けておきましょう。
法的な問題はなくても、文言を細かく言ってくる公証人もいますので事前確認をしておくことがベストです。
細かい修正くらいなら、認証当日でも捨印で何とかなりますが、出来れば避けたいところです。
(訂正印を押してもお客様に渡す謄本はキレイです。電子定款の場合)
さて、次に、定款認証に関する委任状を作成します。
文面は大体下記の通りです。
委任状
(受任者) ○○市×区△町1番1号
行政書士 渡邉 徳人
登録番号 第11111111号
TEL 000(111)2222
私は上記の者を代理人と定め、下記の権限を委任します。
記
1.(商号)株式会社△の設立に際し別紙内容の電磁的記録による定款を
作成する手続き及び公証人の定款認証嘱託に関する一切の件並びに同定款の
保存及び謄本の作成交付嘱託に関する一切の権限。
以上
平成18年○月○日
(商号) 株式会社△
住所 東京都墨田区〜〜〜〜〜
発起人 山田 太郎 ?
当然、電子定款で認証をしてあげて下さいね。お客様にとって4万円浮くのは重要です。
自分で出来なければ、他の事務所に外注すれば良いだけです。
複委任する際はお客様の了承を念のため得た方が好ましいですが、お客様にとっては無事認証が出来て4万円節約できる方が重要です。
ここまでできたら、発起人決定書(発起人会議事録)を袋綴じ。
そして、委任状をトップに、定款を重ねてこれまた袋綴じ。
ホッチキス止めでは駄目です。
発起人決定書(発起人会議事録)・定款共に複数ページにわかりますので、ホッチキス止めの場合、お客様に全てのページに割印をお願いしなければならなくなります。
袋綴じさえしていれば、捨印、記名後に押印、そして袋綴じした裏表紙に割印の3箇所で済みます。
お金を頂いて手続代行する以上、お客様の手間は最小限に留めなければなりません。
別に押印箇所が数箇所減ったところで気付くお客様もいらっしゃいませんし、感謝されることもありませんが、この辺は当然の心構えとして持っておきたいところです。
それに、一人会社ならまだ良いかもしれませんが、複数の発起人がいる場合、全員に全ページ押印させることは非常に手間です。
こちらはお金をいただいているわけですから、手間を惜しまずきれいに袋綴じしましょう。
袋綴じは、慣れるまでは、なかなか難しかったりするんです。^^;
以下の画像が袋綴じの手順です。(これでもわかりにくい!?)

A4のコピー用紙を4分の1に切り、それを更に4分の1に折り目をつけます。

折り目をつけた4分の1に糊付けし、定款表紙の「委任状」に貼り付けます。

4分の1糊付けした後、ホッチキスで一度止めます。

裏表紙も糊付けします。

表に帰ってきて、ホッチキス跡が隠れるようにキレイに包んで製本完了です。

完成!
さて、定款作成後、認証手続まで終わりましたら、次はお客様に資本金の払い込みをして頂くことになります。
お客様ご自身の個人口座へお客様ご自身のご名義(フルネーム)で定款記載金額「ちょうど」の「振込み」を行ってもらいます。
預入では名前が出ないので、必ず「振込み」でお願いしなければなりません。
また、定款記載金額ちょうどでなくてはなりません。
良く「1円会社」を設立される方の中には、小銭をATMで払い込めないし窓口で1円払い込むの恥ずかしいからと、1000円振り込む方もいらっしゃいますが、これは駄目です。
大は小を兼ねません(笑)
1円とか、○百円とかの資本金設定をされる方にはその辺のアドバイスも必要でしょうね。
資本金の払込を終えてもらったら、残りの書類を全て作成できます。
法的な順序は、
定款認証 → 資本金払込 → 2週間以内に登記申請 です。
提出書類は、
・定 款(電磁的記録)
・発起人決定書(発起人会議事録)
・出資総額の払込があったことの証明書(通帳のコピー)
・設立時取締役の就任承諾書
↑ 電子定款認証を行政書士がやった場合、
お客様の押印ではないので、定款記載の援用はできません。
・資本金の額の計上に関する証明書
・設立時取締役の印鑑証明書
上記に加え、司法書士が
・登記申請書
・別紙(OCR)
・印鑑届書
を準備してくれるでしょう。
尚、現物出資をした場合には、
・財産引継書
・調査報告書
上記2つの書類も必要になります。
後は司法書士に任せておけば、不備なく登記完了するでしょう。
ちなみに、法務局には「登記完了予定日」が書いてありますが、大抵は完了予定日よりも早く登記完了しています。
東京の忙しい法務局では、電話で登記完了確認の問い合わせをしても相手にしてもらえませんが、オンラインでチェックできます。
お客様は自身の会社設立完了を心待ちにしていますので、こまめにオンラインチェックをして、一刻も早く伝えてあげたいものですね。
後は、会社成立後の税務・労務関係の届出案内をしてあげる、またはその道の専門家を紹介してあげることで、設立後のお付き合いも続いていくと思います。
これが会社設立実務の簡単な流れですね。
たまには、実務的なお話もおもしろいかなと思って書いてみました。
尚、「会社設立実務」を業としてやっていくつもりなら、下記2冊は必ず購入しておきましょう。
・会社「目的」の適否判定事例集
・どこから読んでもわかる!10歩先行く中小企業のための新会社法実践活用術
<収録内容>
・株式会社設立
・株式会社への移行
・株式会社の定款変更
・合同会社設立
上記書式35種類のCDR収録、本体233ページ